本人の枠組みで理解しよう

ドクター

気合では乗り切れない病気

新人時代から厳しい先輩たちに、仕事は気合で乗り切るものだと指導を受けてきた人からすると、うつ病の人のことが理解できずに、相談を受けても、先輩と同じように気合で乗り切れという接し方になってしまう人も多くいます。うつ病の人の気持ちや状態というものは、なった人にしかわかりにくく、その症状もさまざまです。たとえば、感情面では、気分が落ち込み好きなことですらも感心がわかない、自信がなくなるなどの変化が生じます。思考面では、何回同じことをしても断ち切ることができなかったり、集中力や判断力の低下、行動面ではうっかりミスが出たり、人とのかかわりを避けるようになったり、あるいは、酒やタバコといった嗜好品が手放せないなど様々です。加えて、身体面では睡眠障害や摂食障害、全身の倦怠感などが起こることもあります。これらが複合的あるいは単体であらわれ、一つ一つを見れば、うつ病でない人でも日常でごく普通にある症状です。健康な人であれば、その都度乗り越えることができますが、まさにそれができない人がうつ病ということになります。そもそも几帳面で責任感が強く人に迷惑をかけたくない、自分でできることは自分でしたいというタイプが発症しやすいため、気合で頑張るように促す接し方では、本人をさらに追い詰めてしまうので注意が必要です。近年、うつ病は脳内の神経伝達物質の変化により発症するとも言われています。セロトニンやノルアドレナリンが脳内で不足したり、働きが悪くなることで憂鬱になったり不安感が増大するというメカニズムです。つまり、身体のメカニズムとしておきているので気合でコントロールできる病気ではないということになります。うつ病の人に対する接し方として正しいスタートラインは、この病気を正しく理解して、その人を理解しようと努めることにあります。そのためには、自分の枠組みでなく、相手の枠組みで理解する必要があります。よくがんばることを促すような接し方はよくないといわれていますが、まずは、今までのがんばりを認めてあげることが非常に重要です。そのため、がんばっているねと努力と経緯を認めてあげる必要があります。そして、うつ病の人は何かしら不安を抱え、その解決方法が見つからずにいることがほとんどです。だからこそ、不安になっている人の気持ちを少しでも和らげてあげることが大事です。しかし、相手の不安を抑えてあげるのは、なかなか難しいことでもあります。となれば周囲ができるのは、本人の気持ちを理解しようと努めることになります。理解してくれる人、理解を示そうとしてくれる人はいれば、それだけでも本人にとってプラス材料です。

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